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広島地方裁判所 平成4年(ワ)1258号 判決

広島市〈以下省略〉

原告

右訴訟代理人弁護士

山田延廣

中田憲悟

山口格之

東京都中央区〈以下省略〉

(送達場所)広島市〈以下省略〉

被告

国際証券株式会社

右代表者代表取締役

右訴訟代理人弁護士

松下照雄

川戸淳一郎

竹越健二

白石康広

鈴木信一

本杉明義

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一原告の主張

被告は、原告に対し、金九九九万一七八九円及びこれに対する平成四年一〇月三〇日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

一  事案の要旨

本件は、(1) 原告が被告の営業担当者の勧誘によりワラントを購入した際、被告の営業担当者が「絶対損はさせない。」などと言って勧誘し、さらに、そのリスクを説明しなかったことが違法であるとして、また、(2) 原告が被告の営業担当者の勧誘により株式を購入した際、同様に、被告の営業担当者が「絶対損はさせない。」などと言って勧誘したことが違法であるとして、被告に対して使用者責任を追求した事案である。

二  争いのない事実

1  当事者等

(一) 原告(昭和二四年○月○日生)は、現在、広島市〈以下省略〉で開業している歯科医師である。

(二) 被告は、証券取引法に基づいて証券取引業を営む株式会社である。

(三) B(以下「B」という。)は、昭和六三年四月に被告に入社し、広島支店に勤務、原告が被告と取引を開始した平成元年三月当時、被告広島支店の営業担当者であり、原告を担当していた。

C(以下「C」という。)は、昭和五八年に被告に入社し、昭和六三年二月に広島支店に勤務、平成元年三月当時、Bの上司(営業課主任)で、被告広島支店の営業担当者であった。

2  本件証券取引

(一) 本件ワラント取引

原告は、C及びBの勧誘で、平成元年一〇月一一日、被告(広島支店)から、トヨタ自動車の外貨建てワラント五〇ワラント(以下「本件ワラント」という。)を金八四一万八八七五円で購入した(以下「本件ワラント取引」という。)。

(二) 本件株式取引

原告は、C及びBの勧誘で、平成元年一〇月二七日、被告(広島支店)から、鹿島建設の株式一〇〇〇株(以下「本件株式」という。)を金二四四万六九八六円で購入した(以下「本件株式取引」という。)。

三  争点

1  本件ワラント取引の勧誘行為に、適合性原則違反、断定的判断の提供による違法勧誘、説明義務違反等の違法行為があったか否か。

2  本件株式取引の勧誘行為に、断定的判断の提供による違法勧誘があったか否か。

四  原告の主張

(本件ワラント取引)

1 本件ワラント取引の経過

原告は、平成元年三月ころ、被告からダイレクトメールによる長期国債ファンドの勧誘を受け、被告との間で長期国債ファンドの取引を開始した。その後、営業担当者のBから、何度か株式の売買等の勧誘を受けたが、訴外ユニバーサル証券において株式取引を行っていたため、これを断ってきた。

ところが、平成元年八月ころ、突然CとBが近くに来た、ということで原告宅を訪れた。しかし、原告が仕事に出かけるところであったので、少し立ち話しをしただけで帰ってもらった。その後二、三日してBから、長期国債ファンドのお礼が言いたいので原告宅を訪れたいとの電話があったので、原告はその日時を約束した。

約束の日時にCとBが原告宅を訪れ、原告にワラント取引を勧誘した。その際、Bはワラント取引のリスクについて何ら説明をせず、Cも、ワラントの価格は株価に連動して動くものと説明しただけで、ワラントの権利行使に関すること、ワラントには行使期限があり、これを過ぎると紙くずになるということ、については何らの説明もしなかった。逆に、Cは、ワラントは選び方一つで安全、確実なものであると説明し、「絶対損はさせない。」「必ず利益を持ってきてあげる。」などと言って、原告にワラント取引を勧誘した。原告はCのその言葉を信じて、全日空のワラントを購入することにした。(なお、原告は、「外国新株引受権利証券の取引に関する確認書(乙六)及び「外国証券取引口座設定約諾書」(乙八)に、署名したこともBに代筆を頼んだこともない。)。

その後もCは、同様に「絶対損はさせない。」「必ず利益を持ってきてあげる。」などと言ってワラント取引を勧誘し、原告はこれに応じ、積水化学工業・東急不動産・住友商事のワラントを次々と購入した後、平成元年一〇月一一日に本件ワラントを購入したものである。

2 ワラントの危険性

ワラントとは、一定の期間(権利行使期間)内に、一定の価格(権利行使価格)で、一定の数量(行使株式。一ワラント当たりの払込金額を権利行使価格で除したもの)の新株式を引き受けることができる権利(新株引受権)又はこの権利が表章された証券(新株引受権証券)のことをいい、本件ワラントのように外貨建てワラントは、次のような性質を有するため、投資商品として極めて危険性の高いものである。

(一) 価格変動の大きさ

ワラントの価格は、株価に連動し、かつ株価の数倍の値動きをする(ギアリング効果)から、株価が下落した場合の危険性が大きい。

(二) 権利行使期間の存在

ワラントは、株式時価が値下がりして権利行使価格を下回れば価格は理論上ゼロとなり、行使期間経過により紙くずとなる。

(三) 為替リスクの存在

外貨建てワラントには為替リスクがある。

(四) 価格形成の不公正

ワラント取引は証券会社との相対取引であるから、価格変動が不明瞭なうえ、証券会社によって自由に価格決定されてしまう。

(五) 価格情報の不足

相対取引であることから、ワラントの価格変動は公表されておらず、証券会社も顧客に伝えようとしないから、購入後、売却時期の判断が難しい。

(六) 企業情報等開示の欠如

外貨建てワラントは、有価証券届出書や目論見書による企業情報等の開示(ディスクロージャー)がなされていないため、その取引は危険である。

(七) 権利内容の不明確性

原券自体は、ブリッセルのユーロ債集中振替決済機構に保管され、顧客には証券会社発行の預かり証が交付されるだけである。そして、一般にこの預かり証には銘柄などの記載があるのみで、当該証券の権利内容がほとんど明記されていないので、金融商品としての明確性に欠ける。

(八) 売却方法の限定

外貨建てワラント取引においては、顧客は実質的には買入先の証券会社に該当ワラントを引き取ってもらうしか、投下資本回収の途はないことになる。

2 不法行為

(一) 適合性原則違反

証券取引における自己責任の原則は、その大前提として、顧客が当該取引を自己の責任において行いうるだけの環境を必要とする。取引手法や市場の整備、顧客保護規定の設置等の外的環境の他に、顧客の能力、経験、資力等、当該取引に適合する顧客自身の条件の具備が必要である。したがって、巨大な力を有し、顧客に対して忠実義務、善管注意義務を負う証券会社は、勧誘にあたっては、このような顧客の適合性を慎重にチェックしたうえで、顧客に適合した取引への勧誘のみをすべき義務があり、ワラントは、その特質、危険性からして、少なくとも一般投資家が投資の適合性を持たないことは明白である。

しかるに、原告は、昭和二四年生まれの女子で、昭和五四年から夫と共に歯科医院を開業している開業医である一方、子育て、家事をも切り盛りしている主婦であって、投資につき専門的に研究したり、投資活動を行う時間的余裕も経験もない。確かに、原告は有職の主婦であって、これまでも他社において現物の株取引を行った経験があるが、これらは、営業担当者の指示・指導にしたがって取引をしていたものであり、原告が自ら主体的に判断して積極的に証券投資を行ったものではない。

したがって、原告は通例の一般投資者にすぎず、かかる原告にワラント取引を勧誘したことは適合性の原則に違反する。

(二) 断定的判断の提供による違法勧誘

証券取引法五〇条一項一号は、証券会社又はその役員若しくは使用人がその価格が騰貴し又は下落することについての断定的判断を提供して勧誘することを禁止し、公正慣習規則八号も断定的判断を提供しての勧誘を禁止行為としている。顧客に比して隔絶した力と専門的知識、能力、豊富な情報網を有する証券会社が断定的な判断を提供して顧客に特定銘柄の取引を勧誘するとき、もはや当該取引は顧客自身の判断による取引ではなくなるからである。

しかるに、CやBは、原告に、「絶対に損はさせない。」「必ず利益を持ってきてあげる。」などと言って勧誘しており、断定的判断の提供による違法勧誘である。

(三) 説明義務違反

ワラントは、商品の内容が難解であり、かつ、値動きが激しく、権利行使期間経過後は無価値になるなど投資金額すべてを失う危険性があり、他方、一般投資家には周知性がなかったのみならず、事実上、発行企業の大半が上場企業であって、上場株式等の他の比較的安全な商品と誤解されやすい状況にあるから、証券会社が顧客にこれを勧誘するにあたっては、商品の内容、仕組みや危険性等(ワラントは一定期間内に一定価格で一定株式の新株を購入できる権利を有する証券であること、当該ワラントの権利行使価格・権利行使による取得株式数・権利行使期間、価格変動が激しく無価値になることすらありうること、実勢株価との関連性、価格形成のあり方、価格情報の求め方、購入・売却ともに証券会社との相対取引となることなど)について慎重かつ具体的な説明をし、理解させる義務がある。

しかるに、Bはワラント取引のリスクについて何ら説明をせず、Cも、ワラントの価格は株価に連動して動くものと説明しただけで、ワラントの権利行使に関すること、ワラントには行使期間があり、これを過ぎると紙くずになるということについて何らの説明もしていないことから、説明義務の違反が認められる。

(本件株式取引)

1 本件株式取引の経過

本件ワラント購入後の平成元年一〇月末ころ、Bから電話があり、鹿島建設の株を勧められた。原告は、株は他の証券会社で買っているので買うつもりはない、と断ると、Cが電話に出て、「この株式は国際証券の扱い株で、今は二四〇〇円ちょっとだけれど、三〇〇〇円くらいには絶対値上がりします。」などと言い、これを断る原告に対し執拗に「一〇〇〇株だけでも。」「絶対損はさせない。」「心配はいらない。」というので、一〇〇〇株を買うことにした。

2 不法行為

断定的判断の提供等による違法勧誘

Cは、「国際証券の扱い株だから絶対値上がりする。」「心配はいらない。」などといって勧誘しており、断定的判断の提供による違法勧誘であり、不法行為を構成する。

(本件ワラント及び本件株式取引)

3 被告の責任

被告の営業担当者C及びBは、外貨建てワラント及び株式の勧誘活動に関して故意に右違法行為を行ったものであるから、民法七〇九条の損害賠償責任がある。

そして、被告は、C及びBを営業担当者として雇用している使用人であるから、同人らが外貨建てワラント及び株式の勧誘活動に関してなした前記不法行為につき、民法七一五条の使用者として損害賠償の責任を負う。

4 原告の損害

原告の損害は、次のとおり本件ワラント及び本件株式の購入代金と、現在の価額との差額である(ただし、便宜上、平成四年一〇月一三日を基準として損害額を計算する。)。

(一) 本件ワラント取引による損害

本件ワラントの購入代金八四一万八八七五円から、平成四年一〇月一三日における価額金三〇七二円を引いた、金八四一万五八〇三円

(二) 本件株式取引による損害

本件株式の購入代金二四四万六九八六円から、平成四年一〇月一三日における価額金八七万一〇〇〇円を引いた、金一五七万五九八六円

五  被告の主張

(本件ワラント取引)

1 適合性原則違反について

(一) 証券会社が一般的に投資者の意向・財産の状態・投資経験等に適合した投資勧誘を行う義務を負うとしても、その義務を直接的に投資者に対して負うわけではない。

(二) 原告は広島市の高額納税者リストに掲載されており、被告広島支店に取引口座を開設した直後から毎月一〇〇万円ずつ長期国債ファンドの買い付けを行なっていることから、資産的にワラント取引に不適合な顧客ではない。

また、原告は被告広島支店においてワラント取引を行った当時、四〇歳の歯科医師であり、昭和五四年から夫であるDと共に歯科医院を経営する女性である。そして、原告は、被告広島支店で証券取引を行う以前は、訴外野村証券、同ユニバーサル証券などの他社においても証券取引を行っており、しかも、訴外ユニバーサル証券においては、為替変動のリスクを伴う外国債券の取引を行ったり、株式の短期売買、仕手株の取引を行うなど投機性の高い取引を好む投資家であった。また、原告は、平成元年三月に被告広島支店において、本人名義及び家族名義の合計五つの取引口座を開設、管理して証券取引を行っていることからも分かるように証券取引の知識及び経験の豊富な投資家である。

2 断定的判断の提供による違法勧誘について

B及びCは、本件ワラント取引において「絶対損はさせない。」などといって勧誘したことはない。

また、原告は株式において、「絶対損はしない。」ということはないことを認識しており、ワラントの価格が株価に連動することを理解していた以上、ワラント取引において、絶対損はしない、と信じて取引を行ったものでないことは明白である。

3 説明義務違反について

(一) 証券会社は法的義務としてワラントに関する説明義務を負うものではなく、一般的な商品説明の一環としてワラントに関する説明を行うべきであるに過ぎない。

(二) Bは、平成元年七月ころ、長期国債ファンドのことでお礼を言おうと思い、原告に電話をした折り、原告からワラントの話が出た。そこで、Bは、平成元年八月中頃、原告宅を訪れ、ワラント取引の仕組み及び性質等の説明をした(なお、このときはCは原告宅にいっていない。)。

原告がワラント取引に興味を示したので、Cにワラント取引について詳しく説明してもらおうと思い、平成元年八月下旬ころ、BはCを伴って原告宅を訪問し、ワラント取引説明書(「ワラント取引のあらまし」(乙五)「外国新株引受権証券(外貨建ワラント)取引説明書」(乙一六)を原告に交付して次のような説明をした。

ワラントが新株引受権という権利であり、この新株引受権付きで発行される社債がワラント債であること、このワラント債がワラント部分及び社債部分に分離されてそれぞれ流通し、このうちワラント部分がこれから取引の対象となるいわゆるワラントであること、ワラントの変動率は株式の変動率よりも大きくなる傾向があること、つまり、ワラント取引により株式以上の大きな利益を得られる場合がある反面、株式以上の大きな損失を被る場合があるから注意しなければならないこと、を説明した。これらの説明を聞いて、原告は、「おもしろそうね、儲かりそうじゃないの、いい銘柄があったら案内してくれない。」などといい、ワラント取引に積極的な姿勢を示した。さらに、Cは、ワラントがいわゆる期限付きの商品であり、その権利を行使して新株を引き受けられる期間が決まっているから、それまでに権利を行使して新株を買い取るか、またはこれを転売して利益をあげないと権利行使期間の満了によりその価値を失うこと、を説明した。この説明の際に、原告は、「期限が過ぎたら価値がゼロになることはわかったわ、でもそれまでずっと待つつもりはないから、時期をみて売っていきましょうよ。」など言っており、ワラントが期限付きの商品であることも理解している。

そこで、Bは、平成元年八月二九日、原告宅を訪問して業績の好調な全日空のワラントを勧誘したところ、原告はワラントの購入を決定し、全日空のワラント五〇ワラントの注文を行った。この買い付けの際、原告は、ワラント取引を夫であるD名義の口座で行うことを希望し、「外国新株引受権証券の取引に関する確認書」(乙六)及び「外国証券取引口座設定約諾書」(乙八)の署名をBに依頼したので、Bは原告は届出印を捺印した後、代筆した。なお、Bは「D」の「寛」を「宏」と書いているが、これは原告からウ冠の「ひろし」といわれたので、「宏」だと思い込んでしまったからである。

(本件株式取引)

断定的判断の提供による違法勧誘はなかった。

すなわち、Bは、原告に対して、鹿島建設株式がウォーターフロント関連銘柄で株価上昇が期待できる、などと言って案内しただけである。被告は鹿島建設の幹事会社でないのであるから、B又はCが被告の扱い株だから株価が上がる、と案内したとは到底考えられないことである。

また、原告は、鹿島建設株の取引以前に株取引で損失を被ったことが多数あるのであるから、鹿島建設株の株価が絶対に上がる、と信じていなかったことは明らかである。

第三当裁判所の判断

一  本件ワラント取引に関する認定事実

1  本件ワラント取引の経過について

本件証拠(甲七五ないし八〇、八三、一一六、一一八ないし一二〇、乙一ないし八、一五ないし二一、三四ないし三八、証人C及び同Bの各証言、原告本人尋問の結果)並びに弁論の全趣旨を総合すると、次の事実を認めることができる。

(一) 原告(昭和二四年○月○日生)は、昭和五四年から夫とともに歯科医院を開業している開業医である。医院では、経理事務及び主に矯正歯科治療を担当している。

(二) 原告は、昭和五九年七月ころから、訴外ユニバーサル証券と株取引を始めた。訴外ユニバーサル証券との取引は、株の現物取引のほか、株の信用取引や転換社債の取引もしていた。運用資金は、毎月の収入、貯金、株の売却益を当てた。毎月何回か取引をし、一回の取引額が五〇〇万円から六〇〇万円程度に及ぶこともあった(なお、訴外ユニバーサル証券との株の取引状況は、別表1のとおりである。)。

(三) 原告は、平成元年三月ころ、被告から長期国債ファンドのダイレクトメールを受け、被告から長期国債ファンドを購入した。原告は、平成元年五月からは、家族四人の口座も開設し、それぞれの口座につき、ワラント取引を始めるまでのほぼ毎月の間、一〇〇万円の長期国債ファンドを購入した(なお、家族名義も含め、合計五口座の取引状況は、別表2のとおりである。)。

その後、営業担当者のBから、何度か株の売買の勧誘を受けたが、原告は、ユニバーサル証券において株取引を行っているということで、これを断っていた。

(四) 平成元年八月ころ、Bが原告に電話をした折り、ワラントの話題になった。このことでBは、原告がワラント取引をしてくれるのではないかと思い、平成元年八月中頃、原告にワラント取引を勧誘するため、ワラント取引に詳しい上司であるCとともに原告宅を訪れた。しかし、原告は用事があったため、Cらは、ワラントに関する雑誌の切抜きのコピーを渡すのみで、その日は帰った。

(五) 平成元年八月下旬ころ、CとBは、原告にワラント取引を勧誘するため、再び原告宅を訪れた。Cは、一回目の訪問で原告に渡したワラントに関する雑誌の切抜きのコピーの他、ワラントに関する冊子(「ワラント取引のあらまし」、乙五)を持ってきた。Cは、右冊子を使ってワラント取引について次のとおり説明した。

Cは、ワラントとは新株引受権であり、新株引受権とは株を買える権利であること、ワラントは株価に連動して価格が変動し、値動きが株よりも激しいこと、ワラントには権利行使期間があり、その権利行使期間内にワラントを売るか株に変えるかを選択しなければならないこと、外貨建てワラントは為替の影響を受けること、を説明した。さらに、右冊子中の図を用いながらワラントの価格がどのようにして決まるか、パリティやプレミアムがいかなるものか、説明した。

Cは右のようなワラントに関する説明のあと、パリティとプレミアムの関係から値上がりが期待できると考えた全日空のワラントを原告に勧めた。

原告は、自分名義の口座に資金がなかったが、Cの勧めに心を動かされ、夫であるDの口座にある資金を使い、Dの名義で、全日空のワラント(代金七五六万円)を購入することに決め、平成元年八月二九日頃、外国新株引受権証券の取引に関する確認書(乙六)及び外国証券取引口座設定約諾書(乙八)に、それぞれBに代筆を依頼して夫名義の署名をさせ、また同人に届出印を渡して押印させた(なお、Bは右署名を代筆するに際し、「寛」と書くべきところを誤って「宏」と署名した。)。

(六) 原告は全日空のワラントを購入した後、電話でCから「上がりました。」「もっといい銘柄が見つかった。」などの申し出を受け、平成元年九月一三日、全日空のワラントを売って、積水化学工業のワラントを購入した。全日空のワラントでは二五万円近くの利益をあげた。

その後も、Cから同様な電話があり、原告は、平成元年九月一八日、積水化学工業のワラントを売って、東急不動産のワラントを購入した。積水化学工業のワラントでは、一六万円余りの利益をあげている。

さらに、原告は、平成元年九月二六日、東急不動産のワラントを売って、同月二七日、住友商事のワラントを購入した。東急不動産のワラントでは、五二万円余りの利益をあげている。

(七) 原告は、平成元年一〇月一一日、Cから「いい銘柄が見つかった。」として本件ワラントを紹介された。当時、住友商事のワラントの価格が値上がりしていなかったため、そのときは住友商事のワラントを売らずに、平成元年一〇月一一日に本件ワラント(権利行使期限は平成五年六月一日)を八四一万八八七五円で購入した。なお、住友商事のワラントは、平成元年一一月二日に売り、九四万円余りの利益をあげている。

(八) 原告は、平成元年一一月一七日、訴外ユニバーサル証券から、キャノンワラントの買い付けを行い、その頃、同社から外国新株引受権証券(外貨建てワラント)取引説明書(乙一六)の交付を受けた。

(九) その後、本件ワラントは値下がりし、約二〇〇万円程度値下がりしたころ、原告は、Cから「少し下がっているがどうするか」との電話を受け、さらに同人から、「株価が上がればワラントの価格も戻るかもしれない。」と聞き、本件ワラントを売らずにしていた。しかし、その後も株価が下がり、それに伴い本件ワラントの価格も下落した。

(一〇) 平成三年二月ころ、「新株引受権証券(ワラント証券)時価評価のお知らせ(総務用)」(乙三五)が原告宅に届き、以後、同年二月二八日付及び同年五月三一日付の同書面が送られてきたが、いずれも六一〇万円から六七〇万円余りに及ぶ本件ワラント証券の評価損を示していた。

平成四年四月ころ、原告は、本件ワラント取引及び本件株式取引で損をしたということで、被告広島支店の方に電話で問い合わせたところ、平成四年四月二〇日、営業課長代理のEと、Bの後任として原告の担当者になったFが原告宅を訪問し、原告の話を聞いた。平成四年四月二一日、被告広島支店長のGが原告宅を訪問し、被告としてはどうすることもできない、ということで帰った(なお、本訴が提起される直前の平成四年一〇月一三日時点の本件ワラントの価格は、三〇七二円であった。)。

2  ワラントについて

本件証拠(甲一ないし七四、八二、八四ないし一一六、一一八、一一九、乙九ないし一四、二一ないし三四)並びに弁論の全趣旨を総合すると、右の事実を認めることができる。

(一) ワラントとは、昭和五六年の商法改正によって発行を認められた新株引受権付社債(別名ワラント債といい、新株引受権(ワラント)部分と社債部分からなる。)のうち新株引受権のみを分離した証券である。発行会社の新株を、ワラント発行時に予め決められた一定の期間(権利行使期間)内に、一定の価格(権利行使価格)で、一定量(社債額面(ただし、外貨建ての場合は、ワラント発行条件決定時の為替レートで換算したもの)÷権利行使価格)を購入することのできる権利を表章している。

ワラントには、国内で発行される円建てのものと、外国で発行される外貨建て(主としてドル建て)のものがある。

ワラントは、株価がワラントの権利行使価格とワラント購入コストとを換算した額を上回る場合であれば、投資者に新株引受権を行使して割安な対価で新株を取得する機会を与えることになるが、株価がワラントの権利行使価格とワラント購入コストを加算した額を下回る場合は、市場で権利行使価格より安い値段で株を取得できるため、新株引受権を行使するメリットがなくなる。したがって、株価がワラントの権利行使価格を上回らないまま権利行使期間を経過した場合、ワラントの新株引受権は行使されず、その権利は消滅し、ワラントは無価値となる。

ワラントの価格は、ワラントの理論価格(新株引受権を行使して得られる利益相当額であり、パリティという。)である「(株価-権利行使価格)×当該ワラントが引き受けることのできる新株の数」として計算された価格に、将来の株価上昇期待値(プレミアム)が加算されたものになる。ワラントの価格は、市場の株価の上下にともなって上下し、株価が権利行使価格を上回れば、ワラント証券の価格も上昇し、株価が権利行使価格を下回れば、ワラント証券の価格も下落する関係にある。

ワラントの取引の多くは、自ら新株を引き受けることを目的とするものではなく、売却による利益の取得を目的とするものである。

(二) 我が国では、昭和六〇年一一月一日、社債と分離したワラントの発行が解禁され、昭和六一年一月一日、外貨建てワラント債の分離ワラントを国内に持ち込むことが解禁された。

日本企業がユーロ・ドル市場において起債して、専ら同市場において取引されていたワラントが、国内の証券会社の店頭・相対の取引の対象とされるようになった。

昭和六三年ころから、機関投資家を中心としてワラント取引が行われるようになり、平成元年ころから、個人投資家にもワラント取引が拡大していった。

国内ワラントは、国内の証券取引所で取引され、気配値も知りうる。

ユーロドル・ワラントの気配値は、平成元年五月一日から、特定銘柄に限り、日本証券業協会によって発表されていた。投資家は、気配値発表銘柄について、証券会社に問い合わせることにより気配値を知ることができるようになった。平成二年九月二五日から、日本相互証券で行われる外貨建てワラントの業者間取引(平成二年九月二五日から、業者間取引が日本相互証券を通じたものに集中するようになった。)の気配値一覧が日本経済新聞等の専門紙に掲載されるようになったが、株価のように一般紙には掲載されていない。

平成元年当時、一般の個人投資家にとって、ワラント自体馴染みのない商品であり、その値動きも証券会社に問い合わせるしか情報が得られなかった。

(三) ワラントの特質(危険性)

以上のような性質をもつワラントには、次のような特質(危険性)がある。

(1) ワラントの価格は、株価に連動して値動きするが、株価以上にその変動率が大きく(ギアリング効果)、その売買はハイリターンであるとともにハイリスクである。

(2) 権利行使期間が定まっているため、その期間を経過すると、ワラントを行使することも売却することも不可能になり、投資金額全額を失う危険性がある。

(3) 外貨建てワラントは、店頭における相対取引であるため、取引価格の公開性がない(国内ワラントは、我が国の証券取引所で取引される。)。

平成二年九月二五日までは、一般投資家は、証券会社に問い合わせる方法以外で、外貨建てワラントの取引価格を知ることができなかった。

(四) ワラントに対する各種の規制

日本証券業協会は、平成元年四月一九日の理事会決議において外貨建てワラントについて、証券会社から顧客に対してワラントに関する説明書を交付すること、顧客の判断と責任において取引を行う旨の「外国新株引受権証券の取引に関する確認書」を徴求することを定めた。平成二年三月一六日、「協会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規制」(公正慣習規則九号)の一部が改正され、証券会社が新株引受権証券取引にかかる契約を締結しようとするときは、日本証券業協会が作成する説明書を顧客に交付し、かつ顧客から確認書を徴求することが定められた。

二  本件株式取引に関する認定事実

本件証拠(甲七六、一一六、一一八ないし一二〇、乙一五、三八及び三九、証人C及び同Bの各証言、原告本人尋問の結果)並びに弁論の全趣旨を総合すると、(1)原告は平成元年一〇月下旬ころ、Bから電話で鹿島建設の株を勧められたこと、(2)原告が、他の証券会社で買っているので買うつもりはないと断ると、Cが電話にでて、「是非買っておいてください。」「一〇〇〇株だけでも。」と強く勧めたこと、(3)そこで、原告は、鹿島建設の株式一〇〇〇株を代金二四四万六九八六円で買い付けたことが認められる。

三  不法行為の成否

前認定の事実関係(第三、一及び二)を前提に、被告の不法行為責任の有無について判断する。

1  本件ワラント取引に関する不法行為の成否

(一) 適合性原則違反の有無

(1) 有価証券取引のもつ危険性、証券会社と一般投資家との専門的知識の違い、特に一般投資家の投資判断は専門家である証券会社ないしその従業員の勧誘、助言によるところが大きいとの実態に照らせば、証券会社及びその従業員は、信義則上、投資勧誘の際には、投資家の意向・投資経験及び資力等を考慮し、顧客に最も適した投資が行われるよう配慮すべき義務(適合性原則)があると解すべきである。

(2) これを本件ワラント取引についてみるに、

ア ワラントの発行、取引自体は法律上禁止されておらず、ハイリスクはあるが他方ハイリターンの期待もあるのであり、外貨建てワラント自体の内在的欠陥は認められないから(商品自体には十分な合理性がある。)、外貨建てワラントであっても、適切な説明がなされたうえ、投資者の意向・経験・資産に応じた取引をすることは可能であると認められ、これを一般の個人投資家に販売ないし勧誘すること自体が直ちに違法であるとはいえない。

したがって、外貨建てワラントが一般投資家にとって投資の適合性を持たないとはいえない。

イ 原告は、夫と共に歯科医院を共同経営する開業医師であり、被告以外の証券会社でも為替変動のリスクを伴う外国債券の取引や株式の短期売買、仕手株の取引を行うなど多数の株取引を経験している意欲的な投資家であって、ワラント取引を理解する能力に欠けるところはなかったものと認められる。

また、原告は、被告と取引口座を開設した直後から、毎月一〇〇万円ずつ長期国債ファンドを購入していたことや、別表1、2のとおりの証券取引の実績からみてもワラント取引を行う充分な資力があったものと認められる。

以上によれば、原告に対するワラントの勧誘が適合性原則に違反するとは認め難い。

ウ したがって、本件ワラント取引が適合性原則に違反する旨の原告の主張は失当である。

(二) 断定的判断の提供による違法勧誘の有無

原告は、CやBが「絶対損はさせない。」「必ず利益を持ってきてあげる。」などと言って勧誘したことは、確実に利益があがる旨の断定的判断の提供であると主張する。

しかしながら、「絶対損はさせない。」「必ず利益を持ってきてあげる。」旨のCの発言があった、との原告本人の供述及び陳述書(甲八三)は、前記認定の事実(第三、一1(五))に照らしてにわかに採用できない。のみならず、Cが具体的理由を挙げたり、得られるべき利益の額や率を明言したわけでもなく、また、同人に多少のセールストークがあったとしても、原告本人も本件ワラントが値動きの激しいものであることを認識したうえでこれを購入した旨供述していることからしても、Cの勧誘は、いまだ断定的判断に至っていないというべきである。

したがって、CやBの勧誘が違法な断定的判断の提供である旨の原告の主張は失当である。

(三) 説明義務違反の有無

(1) 有価証券取引のもつ危険性と専門性、証券会社と一般投資家との有価証券に対する専門知識の違い、特に一般投資家の投資判断は専門家である証券会社ないしその従業員の勧誘・助言によるところが大きいとの実態、さらに証券取引法・省令・通達・財団法人日本証券業協会規則といった法令等の規定を総合勘案すると、証券会社の顧客に対する投資勧誘が、これらの公法上の取締法規又は営業準則としての性質を有するに過ぎない規定に違反したか否かを形式的にみることによって私法上の違法の有無が直ちに決せられるわけではないが、投資家保護の要請と、これを具体化した右各規定の趣旨やその制定の経緯・背景からすれば、証券会社及びその従業員は、信義則上、勧誘の際には投資者の職業・年齢・投資目的・投資経験及び資力等を考慮したうえ、投資者に対し、勧誘する商品の有利性のみならず、その危険性についても投資者が理解できるように説明する義務を負うものと解するのが相当である。そして、当該取引の一般的な危険性の程度及びその周知度、投資家の職業・財産状態及び投資経験、その他の当該取引がなされた特定の具体的状況の如何に応じて、投資家の証券会社に対する信頼を保護すべく相当の配慮義務が尽くされた否かが検討されるべきであり、右義務違反があってはじめて、当該勧誘は社会的相当性を逸脱し、私法上も違法なものとして、不法行為を構成するものと解するべきである。

なお、有価証券取引はその性質上危険を伴うものであり、投資者がその判断と責任において行った有価証券取引の結果については投資者自身が引き受けるべきものである(自己責任の原則)が、投資者に自己責任を求める前提として、証券会社及びその従業員に商品である有価証券について説明する義務を要求することは、自己責任の原則と矛盾するものではない。

(2) これを本件についてみると、ワラント取引には、ハイリターンの可能性があるとともにハイリスクの危険性もあるほか、権利行使期間があり、新株引受権を行使しないまま期間を経過すると、無価値になる危険性があったと認められる。

原告が被告とワラント取引を開始した当時は、ワラントの存在やその特質及び危険性が周知されていたとはいえず、原告も、株式投資の経験はあったもののワラントについては知らなかったのであるから、原告との関係で投資全般の助言・指導を期待されていたC及びBとしては、ワラントの特質ないし危険性に関する重要な要素に関する情報を、有利性にのみ偏することなく、説明すべき義務があったというべきであり、具体的には、少なくとも、(1)ワラント価格は同銘柄の株価と同じ方向に数倍の値動きをすること(したがって、ハイリターン可能性がある反面、ハイリスクの危険性もあること)、(2)権利行使期間が定められており、これを経過すると権利が消滅することを、原告が理解できるように具体的に説明すべき義務があったというべきである。

原告が右ワラント取引の勧誘を受けた際、Cからワラントについて説明を受けた内容は、前記認定のとおりであり(第三、一1(五))、右(1)のハイリターン、ハイリスクの点についても説明を受けていたことが認められる。

もっとも、ワラントがハイリスク、ハイリターンであることについて、原告本人の供述によれば、Cの説明はワラントのハイリターンを強調する説明であったと窺われるが、原告のこれまでの豊富な株式取引の経験に照らせば、原告は、ハイリターンにはハイリスクのおそれがあることは当然予測できたか、又は少なくとも予測すべきであったことは前記説示のとおりであるから、右の点は、説明義務を尽くしたとの判断を妨げるものではない。

次に、権利行使期間を経過すると無価値になる旨のCの説明がどの程度なされたかについては証拠上必ずしも判然としないところであるが、仮に、C及びBから権利行使期間の経過後は無価値になる(あるいは権利行使期間前にも無価値になることがある)旨の説明がなかったとしても、原告が、ワラントの説明資料として同人らから交付を受けた冊子(「ワラント取引のあらまし」、乙五)には、その旨(ワラントは期限商品であり、権利行使期間が終了すればその価値を失うという特質を有すること)が明記されていたのみならず、前記認定のとおり(第三、一1(八))、原告は、訴外ユニバーサル証券からキャノンワラントを買い付けた平成元年一一月一七日ころ、同社から、日本証券業協会がワラントの危険性について周知徹底させるため売買時に交付を要請した(「外国新株引受権証券(外貨建ワラント)取引説明書」(乙一六)の交付を受けていたことからすれば(同説明書においては、ワラント売買の仕組みについての説明に先立って、二頁から三頁にかけて枠記事でワラントのリスクについての説明をしており、そこでは横書き下線付きで、「ワラントは期限付きの商品であり、権利行使期間が終了したときに、その価値を失うという性格を持つ証券です。」と明示され、理解し易く説明されている。)、契約成立後とはいえ、この時点でワラントの右危険性に関する説明が補完され、原告において右危険性を認識し、又は認識し得るに至ったものというべきである(もっとも、本件ワラントは、行使期間までに三年以上の期間があるところ、証人C及び同Bの各証言によれば、原告は、本件ワラントを所持して新株引受権を行使する意思はなく、できるだけ短期間に値上がりによる売却利益を得る目的で本件ワラントを取得したことが認められる。)。

以上の諸事情のもとでは、C及びBの右勧誘は、原告に対する必要な情報の提供を欠いた説明義務違反の違法があったとすることはできない。

(四) 以上のとおり、C及びBの本件ワラント取引の勧誘行為に違法性は認められないから、被告に対する損害賠償を求める原告の請求は理由がない。

2  本件株式取引に関する不法行為の成否

原告は、Cが「この株式は国際証券の扱い株で絶対損はさせない。」「必ず利益を持ってきてあげる。」などと言って勧誘したことは、確実に利益があがる旨の断定的判断である、と主張する。しかしながら、「この株式は国際証券の扱い株で絶対損はさせない。」「必ず利益を持ってきてあげる。」旨の発言があったとの原告本人の供述及び陳述書(甲八三)は、前記認定の事実(第三、二)に照らしてにわかに採用できない(仮に、本件において、これらの発言があったとしても、一般に証券会社等が投資家に提供する情報・助言等は、経済情勢や政治状況等の不確定な要素を含む将来の見通しに依拠せざるを得ないのが実情であることや、他方、原告も自らの判断と責任において取引を行う投資家として豊富な取引経験を有することに照らせば、前記説示のとおり、原告は、株式取引において必ず利益を得るとは限らず、値上がりがあれば値下がりの可能性もあることは十分に理解できたと推認されるところであるから、Cの右発言をもって、原告に対する関係において、違法な断定的判断の提供であるとまで評することはできない。)。

したがって、Cの勧誘が違法な断定的判断の提供である旨の原告の主張は、失当である。

二  以上のとおり、Cの本件株式取引の勧誘行為に違法性は認められないから、被告に対する損害賠償を求める原告の請求は理由がない。

第四結語

よって、原告の本訴請求は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条に従い、主文のとおり判決する。

(裁判官 松村雅司)

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